セカンドオピニオン ・・・・・主治医以外の第2の意見
手術したほうがよいか どんな方法でするのがよいか
ある程度一般的な了解が得られる疾患ばかりではありません。
この患者さんは手術したほうがいいのだろうか するとしたら どういう方法がいいのだろうか
迷うこともたくさんあります。
そういうとき どうしていると 思いますか?
1、文献をあさる
他に同じような症例の報告がないか 他の病院ではどうしているか 調べます。
2、自分の師匠に聞く
今は他病院で活躍されている何人かの自分の師匠達に相談します。
3、全国的に有名な先生にじかに聞く
その疾患についてたくさんの経験をお持ちと思われる先生にセカンドオピニオンを求めます。場合によっては 患者さん自身に紹介状を持ってその病院を受診していただくこともあります。
こうやって情報を集めてさらにカンファレンスで治療方針を決定していきます。
患者さんには集めた情報 迷った理由 さらにお勧めする治療方針とその理由について説明し ご理解をもとめます。
なあんだ それなら 問題ないじゃない って思われます?
ところがどっこい 問題は大有りなのです。
治療方針に迷うような症例では きちんとこういった手続きが踏まれます。
でも それって 治療方針に迷いがない場合には 省かれてしまうってことなんです。
だからたとえば 自分の診断になんの迷いも持っていない場合
あるいは 多少の迷いがあってもその違いが結果に多大な影響を及ぼさない と思っている場合 そういう場合にこそ セカンドオピニオンが必要なのです。
診断している自分自身は間違いがないって思い込んでいるし
常に自分自身を客観視する視点が持てるわけでもないから
慎重さ や 良心 謙虚さ といったものでは ふさぎきれない穴が できてしまうのです。
だから 「他のDrの意見もきいてみたいのですが」 という あなたの一言は
実は とても ありがたいものなのです。
検査結果と資料だけをお渡しする場合もあるし
セカンドオピニオンをお願いします って手紙をお渡しする場合もあります。
いずれにせよ そのときに 自分の診断と治療方針を もう一度冷静に見直す 機会が得られます。
あれっ だいじょうぶかな おちはないかな
そのちょっとした緊張感が 思わぬミスを防ぐことだってありえます。
だから 相手が自信満々に見えるときこそ 勇気を出してみてください。
このDrに頼りたい そう思うときこそ 他のDrのところにちょっと足を運んでください。
ここで 人間関係に視点をおいた セカンドオピニオンを 求める時のアドバイスを。
(きっとみなさん気になるのは 主治医との人間関係ですものね)
1、紹介状をもらっていきましょう
セカンドオピニオンを求められる側からすると 手紙があったほうが精神的に楽です。自分の分からない深い配慮によって選択されている治療方針かもしれないし、その方針を選んだ理由まできちんと書いてあると、かえって自由に反対意見も言えるものです。
相手のDrをかばって嘘を言おうとは思わないけれど、自分の不用意な発言がその患者さんと主治医との関係を悪化させることは避けたいという心理は働きます。
医療に関する意見の食い違いはかまわないけれど(あって当たり前だし) 人間関係のごたすたに巻き込まれるのは ごめん と思うのは 私だけではないと思います。
患者さんを挟んだ心理関係がなければ 純粋な意見の交換にすぎませんからね。
主治医も認めているセカンドオピニオンである と示すことが 裏表ない意見を聞くことにつながります。
(もちろんこれはとりもなおさず セカンドオピニオンを求めるということを自分の主治医に話すということになります。隠れていく必要はないのですから。)
注:手紙(診療情報提供書)には費用がかかります。
2、血液検査、レントゲンなどのすべての検査結果をもっていきましょう
言うまでもなく 無駄を省くためですが 「すべての」というところが大切です。
どんな検査をしてあるか あるいはしていないか を見るだけでも ある程度 そのDrが何を疑い 何を心配しているか また 何を見落とし 考慮に入れていないかが わかります。
手紙よりも雄弁にそのDrの知識を物語ってしまうこともあるのです。
3、前医の悪口をいうのはやめましょう
あなたは他の異なる意見を求めに行ったのであり 主治医から逃げ出して助けを求めに行ったわけではありません。
セカンドオピニオンとドクターショッピングは 別のものです。
いくつかの意見を聞いたうえで 転医してもかまいませんが これはその前段階です。
Drの間には ドクターショッピングをする患者さんは常習だという 思いがあります。
またいつどこで 今度は自分の悪口を言うかもしれない人を相手に 腹を割って話す人はいないでしょう?
でも もちろん 主治医でうけた説明のここが分からなかった とか 納得いかなかった とか
そういうことは 正々堂々と 言ったってかまいません。
あなたの主治医が うまく説明できなかったことを セカンドオピニオンのDrは うまく説明してくれるかもしれません。その結果 あなたが主治医に対して抱いていた不信感が払拭されることだって あるかもしれません。
4、もし あなたの主治医が検査結果を貸してくれなかったり 手紙を書くことを嫌がったら
そんなDrは 人間としても 職業人としても 最低です。
さっさと見切りをつけて 違うDrをみつけましょう。
検査結果は 新しいDrから 公式に請求してもらうことができます。
もしあなたがそう望むなら前医に対して転医した言い訳など いくらでもできます。 逃げ出してきた患者さんのために私が良く使うのは
「・・・在所の都合上 当院での加療をご希望されております。ご多忙のところ大変申し訳ございませんが 貴院で施行された○○の検査結果をお貸しいただきたく・・・」
(患者さんのお住まいの都合上うちの病院の方が都合がいいらしいので、うちに来ることになりました ってことですね)
もちろん言い訳する必要なんてないのですけど。
インターネット上でもセカンドオピニオンを求めることはできます。
(循環器疾患に関しては日本心臓財団がネット上で質問を受け付けています。
セカンドオピニオン)
ただこの場合 個別の事例に対して どこまで詳しい意見が聞けるかは 難しいところです。
一般的な意見を求めるなら こういったものを利用してみるのも手でしょう。
最後に 手術を勧める説明を行った後に 必ず付け加える 言葉を。
(緊急手術の前にはいえませんけどね)
この病院の心臓外科チームには私の他に○人の医師がいます。
チーム制で医療に当たっているので あなたのことは 全員の医師が把握しています。
私の今の説明で分からなかったり 納得できなかったところは 私はもちろん
私以外の医師誰に何度聞いていただいても かまいません。
そしてまた あなたは この病院以外の医師の意見をきいてみることだってできるんです。
あなたがご希望する医師に手紙を書いたり 検査結果を見ていただいて 私達の判断について 意見を求めることもできます。ご希望があればそういう医師をご紹介することもできます。
きっとあなたは 今 あまりにおおきな決断を前に ちょっと混乱しているかもしれない。
いつものあなたのようには 冷静ではいられない。
当たり前のことです。
だから 納得いくまで 考えていいんです。 納得いくまで じたばたして いいんです。
誰に気遣う必要もありません。 あなたが主人公です。
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エキブロ総合病院
話題:セカンドオピニオン
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セカンドオピニオン・ネットワーク
2004.9.28 追記