仕事にめっきりかまけている間に、台所の主導権はすっかりあばらに奪われた。
「あのねえあのねえ、この間呼ばれた夜中の緊急手術あったでしょう?あのあとねえ・・・」
ただいまの口づけをして抱き合って、服を脱ぎ捨ててシャワーに直行し、ビールを飲みながらソファーにひっくりかえって、台所に立つあばらの背中に、機関銃のようにおしゃべりを浴びせかける。
休まず手を動かすあばらは背中で相槌を返すだけで返事をしない。いいや、返事ができないのだ。
少しでも家に帰る時間を増やすため走り回って仕事をこなして弾丸のようにすっ飛んで帰る私と、ほとんど一日中誰とも話さず自分の頭の中に住み続けているあばら。
「君が帰ってきたその瞬間から、ぼくのこっちの世界での一日が始まるんだよ。」
あばらは笑いながら言う。「だから君の声は、まだ寝ぼけ眼の頭の中で叩かれているドラム缶のようなんだ。想像できる?返事をしようにもぼくの頭はまだ霞がかっていて、ロケットのように飛び去っていく君の話に照準をあわせられないんだよ。」
ああそれを言うのなら。全速力で駆け抜けて帰ってくる私にこの家の時間はあまりにスローモーションで、私はまるでアメリカのアニメに出てくるネコとネズミみたいに足を空回りさせて砂煙をたてて止まらないと通り過ぎてしまいそうなのだ。
疲れた体に鞭打つようにして立っていた台所は火照った体を冷やすのにちょうどよかったのだと、それをしなくてよくなった今、惜しむようにしみじみする。それが私に必要なのだと、言えば台所を明け渡さぬあばらではもちろんないけれど、「おいしいって食べてくれてありがとう」とにっこりされれば、生活習慣へのこだわりや頑なさなど何の役にも立ちはしない、新たな習慣を探すまでだと開き直りもする。
ただいまからいただきますまでの一時間、台所に立つあばらは背中でうなずきながら、ゆっくりと伸びをしてこちらの世界に戻ってくる。それをソファーで眺める私は、エンストをおこさないくらいの手際でもってとんとんとんとシフトダウンし、急ブレーキに煙を立てている足をぺろぺろと舐めながら、自分の住まう時間が次第に速度を落とし、後ろへ後ろへと飛ぶように流れていた景色がゆっくりと色彩を取り戻すのをじっと待つ。
そうやって一緒に住まう二人の他人は、互いの時の速度がすっと寄り添う瞬間に目を凝らす。

ひさびさにあぶ作のご飯。
【辛いトマトのパスタ ズッキーニ】
にんにくのみじん切りと鷹の爪をオリーブオイルで炒める。
トマト缶を入れて煮る。塩で味付け。
ある程度煮詰まったら手でつぶしたトマトを入れてさっと火を通す。
ズッキーニ、ピーマンはオリーブオイルをまぶして両面に焼き色をつけて パスタと一緒にあえる。
上にのっけたのは大葉。
【チキン蒸し焼き】
うちの定番。
酒、醤油、胡椒、適当な香辛料(私はセロリソルトを多用)に鶏もも肉をつけておく。
にんにくの香を移した油で両面焼いてから、フライパンに水をじゃっと入れて蓋をする。
水がなくなったら蓋をとって表面をもう一度かりかりに焼く。
レシピを、のお声を頂きましたが、適当に作っているのでレシピがありません。
こんなふうに作ったの、を書いてみましたので、こうやったほうがいいよってなことがありましたら教えて下さい。