色々考えたけどね おばあちゃん 家に帰ることにするわ。
あっちの家に 着替えも何も 置いてあるしね。
あっちの家ってどこよ。
だから おばあちゃんの家さ。
おばあちゃんの家はここでしょ。
お前はそう言うけどね おばあちゃん どうしてもここが家だとは 思えないんだよ。
だからね いったん家に帰れば 納得すると思うんだよ。
帰るってどこに帰るの?
おばあちゃんの家だよ。 家族が暮らしている・・・・
家族って 私は家族じゃないの? 家族は私たちでしょ。
もちろんそれはそうさ でもね 本当の家族のいる家へ行きたいんだよ。
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いつ果てるとも分からないそんな会話を繰り返して 昼寝をしたものだから 全く変な夢をみた。
夢の中で 私は 祖母の本当の家と家族を探す旅に 出るところだった。
旅の支度をする私に 妹が 都こんぶと おしゃぶり梅を 手渡して言った。
お姉ちゃん これを持っていって。
これを食べるとね 闇の力を手にすることが できるから。
目に見えない光を見 聞こえない音を聞き 触れないものを触る力が 得られるから。
それからね あと もうひとつ これが一番大事なんだけどね
そういってごそごそとかばんの中を探るが そこは夢の中でも 抜けている妹
肝心なものが 見つからないのだ。
肝心なもの・・・それは 護符だった。
これがないとね お姉ちゃん ほんとのことが わからないんだよ。
ほんとのことを探しに出るなら この護符が どうしても必要なんだよ。
いくら探してもかばんの中からは見つからないので 妹と二人 物置を探した。
亡き母が 思い出箱と名付けて 大事にしまいこんであった ダンボール箱を開け その護符を探した。
あ これ 私が 敬老の日に書いたやつだ
だいすきなおばあちゃんへ 小学生の字が踊る。
こっちは ほら あんたが 後生大事にしていた 猫のプー。
家族旅行の写真 母が作った積み木 誰かから誰かに宛てた手紙 夏休みの宿題
次々と出てくる懐かしい品々に夢中になる私に 妹が言う。
お姉ちゃん そんなものは なんの役にも 立たない。
ほんとのことを探すのに そんなものは なんの力も持たないんだよ。
本当の力をもつ護符を 探さなきゃいけないんだよ。
いつしか 妹の目は妖しい赤みを帯び 指先は 燃える溶岩のように光っている。
私が夢中になっている偽物の中から 本当のものを 本当の力を持つ護符を探しているのだ。
ねえ 私には分からない 分からないんだよ
何が 本当のものなのか 本当のものを探すために何が必要なのかも
私には 見えないものを見る力は無いし どうしようもなく無力なんだよ
私には こんな旅は 無理なんだよ
妖しく光る妹に向かって 必死で言い募る私。
ううん お姉ちゃんじゃなきゃ いけないんだよ
何も見えないからこそ 何の力も持たないからこそ お姉ちゃんじゃなきゃ いけないんだよ
本当の力を使う事ができるのは 何の力も持たない ただの人じゃなきゃ だめなんだよ
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結局 護符が見つかる前に 荷造りをするばあちゃんの声で 目が覚めてしまった。
いつも お姉ちゃんに任せきりで あたしはのほほんとしていて
全部背負っている お姉ちゃんがかわいそうでかわいそうで
そう言って 葬式の夜 泣いていたお前。
でも 姉ちゃんは お前がいないと こんなに無力で こんなに一人ぼっちで
ばあちゃんの狂気を前に ただただ 怯えているだけなんだよ。
姉ちゃんは ばあちゃんの本当の家族を 探しに出ようと思う。
護符は見つからなかったから お前のくれた 都こんぶとおしゃぶり梅だけを持って 探しに出ようと思う。
何の力も持たない ただの人だけどね
だからこそ できることも あるんだと思う。
お前みたいに 死んだ母さんを 想って泣きじゃくったり
ばあちゃんを 心底心配して飛行機で飛んでくるような そういう優しい力は 持ち合わせていないけど
だからこそ 私にしかできないことが あるんだと思う。
ばあちゃんの 本当の家族と本当の家を きっと 探すから
お前は 待っておいで。
なんだか 書いているうちに
妹よ別バージョンみたいに なっちゃいました。
今回は 船ではなくて 夢でお出かけです。