共に暮らすようになって半年。権力闘争の結果、キッチンとリビングルームは私が獲った。入り口に近い4畳半はオフィスとして彼が獲った。オフィスがない私は、リビングルームで昼寝をし、台所のコンロの前で本を読む。キッチンとリビングは家の中心であるから、常に四方に開け放たれ、トイレに行くにも風呂に行くにも、妻たる私にキスをしないでは通過できない仕組みになった。プライバシーがないといえばそうなのだけど、逆にいえばこの家全体が私の部屋でもある。私の目をすり抜けてこの家に持ち込まれる食べ物はないし、私の手を経ずに彼の口に入る食事もない。
支配が完了して自由にできるとなれば、次にはなんらかの制約を作りたくなるのが私の性。
日々の食事をただ作るだけでは飽き足らない。まずは冷蔵庫から「カタカナ」を一掃した。
「カタカナ」日本語がよく読めない彼のために、なんだかよく分からない食品添加物をこう説明した。干物でも調味料でも買うときにはラベルを見る。カタカナや読めない漢字が書いてあったら(糖類とか保存料とか)買わないこと。それを徹底すると加工食品はほぼ買えない。それでよい。加工食品をやめて、あとちょっと気をつければ口に入る食材のほとんどを国産に限定できる。ほとんど、というのは、家畜の飼料やどうしても自分で作るのはしんどいビールやチーズの原材料まで把握できないから。
国産地元産にこだわると、食べられる食材が限られる。だから旬が待ち遠しい。ここいら辺ではまだまだアスパラは食べられないのだ。
加工食品をやめるとなると買い物にいけない日の非常食の常備が必要となる。国産にこだわると高くつく。特売日に魚を買い干物を作る。肉は塊で買って味噌漬け塩漬け。野菜は皮まで全部干す。
働きながらできるはずもないと思っていたことが、ちょっとしたこだわりでできるものだと得心した。1週間に半日の休みが待ちどおしい。同時にこれが、日本の将来への投資になりますように。地球の未来への投資になりますように。

知り合いの農家さんから季節外れのりんごをいただいた。
アップルパイは時間がかかるようだけれど、生地を寝かしている間にほかの仕事ができるのだもの。かえって得したようなもの。

生地があまったので夕ご飯のスープに蓋をしてみた。

味噌漬けのばら肉とキャベツの炒め物
春野菜と大麦のスープにパイの蓋 (こういうのなんていうんでしたっけ?)
ご飯