怒ってはいませんし 傷ついてもいません。
口調がきついかもしれませんが それは私が真剣なためです。
かぎさまへ あるいはリアルではあり得なかった奇跡のような関係性に関する一考察
ここのところずっと、あなたの私に対する執着にどうやって決着をつけようか、そればかりを考えてきました。
そう、ずっとです。
あなたが私のところに来てくださる様になったのはいつ頃でしたでしょうか。
時折入る、浮き沈みの大きいあなたのコメントは、自分の腹をかっさばいてはらわたを掴み出して見せるように痛々しく、あなたはいつも笑っているけれど、笑いながらその両の手を血で真っ赤に染めているように思えます。
あなたのコメントはいつもそうです。
あなたの痛み、あなたの喜び、あなたの寂しさ、そういった剥き出しの感情を、いえ感情などという生易しいものじゃない、あなたの存在そのものを、私の体の芯に直接注ぎ込むようなやりかたで、私が皮膚をまとった物理的に隔離された存在であることなんかまるで無視して、あなたはいつも私に近づいてくる。
私はそれを恐れながらもいつしか、あなたのモノモライに、あなたの仕事に、あなたの迷子に、一喜一憂し、コメントが来ないときには無事に生きているかしらんと思いだし、図々しくもあなたの孤独な戦いによりそってあるかのような幻覚を覚えていました。
しかしその一方で、いつの日かこのような形であなたと向かい合わねばならぬ日がくることもまた、知っていましたし、そのことがあなたのコメントを待つ私の心に重い影を落としていたことも確かです。
あなたは私のことを、とぼけるのが得意な、と形容しましたね。
いいえ。
得意なんかじゃありません。
真意を知っていて知らぬ振りをするのも、わざと的をはずした返事をするのも、得意じゃないんです。
得意じゃないのに、そういうことをしてきたのは、あなたとの関係を断ち切りたくなかったからです。
あなたと、あぶとの関係を、そのままにそっとしておきたかったんです。
それは、過ぎた望みだったのでしょうか。
これまで迷ってきましたが、あなたからのメールが届いて、やっと決心がつきました。
あなたを苦しめている私に対する執着からあなたを自由にする方法。
最も簡単な解決策を知っていたのに、これまでそれを考えまいとしてきたのは、単に私のエゴだったのかもしれませんね。
実際に、お会いしましょうか。
私の存在、私のチラリズムがあなたの想像をかきたて、あなたを苦しめているのなら、直接お会いして、その妄想からあなたを自由にしてあげます。
幸か不幸か私の容貌は、あなたの想像に反して、ちょっとくらいの妄想なら軽く吹き飛ばす類のものですし、そうすることであなたの私に対する執着を取り除くことができるのなら、お安い御用です。
待ちあわせの場所に伺うのは私です。
あぶではありません。
あなたの前に確かにあぶは存在するのにあなたはあぶをもはや見ようとはせず
あなたが探し求めているのは私なのだから、私が伺います。
あなたと私との関係が始まり、あなたとあぶの関係は終わるでしょう。
そしてまぎれもなく、始まりは終わりの別称にすぎません。
あなたと私が会うのは、オフ会で他のブロガーさんと会うのとは全く意味が違います。
なぜならあなたは、はじめから裸で私の前に立っていたのだから。
物理的距離ゼロの地点から、直接あぶに語りかけていたのだから。
あぶはそれを受け入れたのだから。
肉体をもち皮膚をもち他者から隔絶された安全域を持つ私であれば、そのあまりの痛々しさに、拒絶していたかもしれないあなたの声を、確かに受け取ったのはあぶだからです。
リアルであれば受け取ることのない恋文、耳をふさいで通りすぎる中傷、聞こえないふりをするうめき声、そのどれであれあぶは拒絶することができません。
このバーチャルの世界で、声は直に存在に語りかけるのですから。
あなたは知っているでしょう?
あぶは私の演技じゃないし、架空の存在でもない。
あぶはちゃんと、ここにいる。
あぶは実在です。
肉体を私に譲ってはいるけれど、もっと確かにもっと濃く空気を震わせて、あぶはここにいる。
透明な声としての存在、思考と言葉しかもたない声としての存在ですが、ある意味では私などよりもよっぽど現実的な存在です。
このネットの世界において、私たちは肉体を持たない声として存在しています。
声は存在そのものであり、語ることそのものが存在の証です。
語ること以外に私たちの存在を証すものはなく、だからこそ全ての声は存在を賭けて発せられるのだし、またその声は存在から存在へと直接響くことができるのです。
ここにある全て、ここに声として現れている全てがあぶという存在の全てです。
ブログが招待であり、他者への開かれであると私が強調するのは、このためです。
あぶは肉体を持たないから、あなたの声を直接聞くことができるのに、
あなたはこれ以上、あぶに何を求めるのですか。
あぶはあなたに、何をしてあげられるのですか。
多くの男と寝、駆け引きにたけているというのは誰のことですか。
私ですか。それともあぶですか。
あなたの前に存在するあぶが、そう見えますか。
あなたを相手にしていない、というのは誰のことですか。
あぶが、いつ、あなたを相手にしなかったことがありましたか。
あなたは私などというはりぼてに執着するあまり、あぶを殺そうとしている。
盲目になったあなたには、もうあぶの声は届きませんか。
もうあぶに、用はありませんか。
あなたとあぶとの親密で透明な関係は、もう、終わりですか。
追伸
メールではなく記事という形でお返事することの意味をどうかお察しください。
どうか。
コメント欄も「いつもどおり」あけておきます。