なんでも口に入れて調べる時期、とは言うけれど、調べるというよりは食べてみると言った方がぴったりくる。
掃除しても掃除しても何処かどうかに何かが落ちてて、ぴぃなはいつも何かをモグモグしている。一体視力がどんだけいいのか、床のゴミを目敏く見つけるや否や、大枚をはたいて買ったダイソンに勝る速さで突進しろくろく確認もせずに口に放り込む。
ぴぃなのお気に入りは、植木鉢からハラハラ落ちるベンジャミンの枯葉とドライキャットフードだ。どちらも簡単には噛み砕けないから、キャンデーのように口の中でいつまでも味わっている。
そういう時のぴぃなはすぐわかる。いつになく静かに一人遊びをしているなあ、なんて時は要注意。いつもは半開きの口をギュっと閉じて、「ん?」と覗き込むママから目を逸らせばもう決まり。首根っこを押さえ付けて口の中から搔き出すと、ばれた?ってな顔でうふふって笑う。うふふじゃないでしょう!アンタはまた!と怒ってみせる私ももはや諦めの境地だ。
落ち葉もキャットフードも有機物だしね、食べられんでもないでしょう、とおおらかに構えて、自分の精神安静を優先させることにした。
今日のぴぃなはちょっと違った。口をギュっと閉じているのはいつもの通り。だけどその口角から尋常じゃない量のヨダレが垂れている。「ん?」と覗き込んだママから目を逸らすのはいつもの通りだけど、その表情は隠しきれない喜びとそれでいて口元はまず〜いの形に歪んでいる。
「あんたまた何食べてんの!」と反射的に口に指を突っ込んで……掻き出されたのはなんとカメムシの死骸。
まあ確かにこれも有機物だしね。食べられんでもないでしょうけど。
ごめんぴぃな。あのあとアンタにおっぱいを咥えさせるの、一瞬躊躇しちゃった。