――――自由でいるためにはね バランスが必要なんだよ
夕日に赤く染まりゆく海に向いたまま 男は言った。
初秋の浜辺は人影もまばらで 数人のサーファーが去り行く夏を惜しむかのように波と戯れていた。
―――波乗りだってそう。
波を乗りこなすにはバランスが必要だし
そうでなかったら僕たちは
不安定な波の上で自由を保ってはいられないんだ。
―――波の上にいるあなたは とても自由に見えるわ。
重力の楔から解き放たれているように自由で
でもほんの少し孤独に見える。
―――孤独・・・そうかもしれない。
バランスを保とうとすれば必然的に
自分の立ち位置に自覚的にならざるをえないのかもしれない。
―――それって寂しい感じのこと?
―――たぶんね。
人ごみの中にいてもね
自分の周りだけにほんの少しの隙間が保たれているような感覚なんだ。
それはとても大事なことなんだけど
でも 少し寂しいことなんだよ きっと。
―――夢を見るのよ。
いつも同じ夢。
夢の中であなたはとても優しく微笑んでいるの。
私はうれしくて手を伸ばすのだけど
その指先はあとほんの少しで あなたに届かないのよ。
そう ほんの少し。
あなたの体温が伝わるくらいに近いのにでもほんの少し届かないの。
このことはあなたのその寂しさに関係するのかしら?
―――わからない。
でも たぶん 近いと思う。
後ろの木陰で鳥が鳴いた。 くるっく。
沈黙。
そして 波の音。
気を取り直したように女が笑って言う。
―――あなた 体温高いから 手が届かなくたって十分暖かいのだけど。
それからまた 自分の物言いに傷ついたように 黙った。
また 鳥が鳴く。 くるっく。
男は長い指をそろえて足元の白い砂をすくう。
砂は指の間からさらさらとこぼれ落ち 形のよい膝頭をつたって落ちた。
その様子が思いもかけず儚げで 女は胸を締め付けられ 見なかったふりをする。
―――そう そばにいるだけで暖かいから いいの。
これは独り言。
波の音はますますその響きを深くし 白いヤドカリがひとつ ちいさな足跡をつけて行く。
海と空の境はいつの間にか濃紺のカーテンに包まれ 浜辺には二人の他 誰もいない。
また 鳥が鳴く。 くるっく。
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お誕生日を迎えた
いきゅどんに捧げる おまーじゅ。
おそらく私の知る駅ブロガーのなかで最もバランスのとれた男。
おめでとう。
(おまーじゅになってないやん!って突っ込みは許してね。)
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鳩祭り開催中!
企画:発展途嬢 (http://nutschoco.exblog.jp/)
協賛:毎日が三者凡退 (http://earll73.exblog.jp/)
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