君の作ったおみそ汁が食べたい。
って言われたことがある。
学生の頃 何人かで家に来て みんなで飲んでた。
酔っ払って 一人帰り 二人帰り 最後 あんまり仲良くない男の子が一人残った。
あんまり親しくなかったから もう寝るから帰ってよ とは言いづらくて
なんとなく雰囲気で さあ お開きね みたいなものをかもし出したんだけど
鈍いのかわざとか なかなか帰らない。
男と二人っきりで 部屋にいるようなシチュエーションになるなよ っていう突っ込みは当然あるかもしれないが
そういうシチュエーションを避けようとしていることそのものが
単なる友人の一人であるはずの彼を 性的対象になりうる男として認識している ことになると思って
それは 彼にその気がなければ 彼にも失礼だし
彼にその気があれば そんな程度の男に恐怖を感じるなんて悔しくて認めたくなかったし
とにかく そんなわけで
帰って欲しいと思っている ということを悟られずに
帰って欲しい と思っていた。
図体のでかいやつで それがまた 怖かった。
あくびをしたりして 眠いからもう帰ってね って雰囲気を出したり
みんなの残していったコップを洗って おひらきの雰囲気をだしたり
四苦八苦。
そんなときに そいつがぼそっと言ったのだ。
・・・・君の作ったみそ汁が食べたい。
卒倒しそうに なりました。
どうやったら 彼を友人として遇したままお帰りいただけるか と必死で考えていた間
こやつは どうやってくどくかって 考えていたのか と思ったら
無性に腹が立った。
しかも みそ汁!
ばかにしてるのかと思ったけど どうやら他に言葉が見つからなかったらしい。
仕方がないので そこにあった紙コップに
味噌を入れて
ポットでお湯をじゃーって入れて
はい (にこ) って渡した。
まずそうに飲んで
じゃあ 帰るかな って。
話の分かる奴で よかった。
りりこさんみたいに ずばずば切れる女は かっこいい。
私だって 今なら・・・。