目の前に流れ星が差し出されました。さて。
王様はそれを紐で繋ぎました。
次に差し出されたのは風でした。さて。
王様はそれも紐で繋ぎました。
次に差し出されたのは雲。さて。
もちろん雲も紐で繋がれます。
そして雨が。そして波が。さて。
さて。
ついには声が。
さて。
紐で繋がれたそれらのものが
赤茶けた地平線を 歩いていきます。
うなだれて。
静寂の中を。
裸足で。
灼熱に焼かれる大地は 砂埃に霞み。
かさかさとした砂を含む空気が 鼻の穴といわず喉といわず毛穴といわず
隙間という隙間に入り込み
世界は乾く。
流れぬ星は流れ星ではなく
そよがぬ風は風ではなく
飛ばぬ雲は雲ではない。
歌わぬ声は声ではない。
ただ 薄汚れて
うなだれて。
繋がれて。
誰かが石を投げました。
大丈夫 あいつら死にはしない。
誰かが言いました。
都へ行くのさ。
王様に貢がれるのだよ。
繋がれて。
ガラスの展示箱があるそうだ。
王様の。
コレクション。
誰かが投げたその石は ぽんと 一行の足元に落ち
それを皮切りに 人々は一斉に石を投げ始めました。
投げられたひとつの小石が星に当たりました。
小石は星の端をぱりんと割いて 星はよろめき
砕け散った星の欠片が ぱらぱらと地に舞いました。
次々と小石が投げられました。
石は風に当たり波に当たり星に当たり声に当たり
しかし誰も何も申しませんでした。
静寂と 石の当たる音と
にもかかわらず続けられる行軍の 足を引きずるさらさらという音。
血が 流されたのでしょうか。
いいえ。
血すら 流されませんでした。
人々は 笑っていました。
石はますます降り注ぎ 星の角々は砕け散り
砕けるたびに 大地は一瞬明るみに包まれ
そしてまた
静寂。
何事も なかったように。
そう何事も 起こりません。
そう あいつら
死にはしないのだから。
遊びに飽きた誰かが
とうとう 大きな石を取り上げました。
息も絶え絶えに横たわる小鳥に とどめのハンマーが振り下ろされるように
重く引きずる足を止め ふと顔をあげた星に
石は
まっつぐ飛んでいきました。
星の目が見開かれ
そして
飛び散ります。
まばゆい光があたりを包み
いけにえを繋いでいた紐が千切れます。
風がごうとうなり
空は黒い雲で覆われ
どしゃぶりの雨が やってきます。
波が来ます。
波は雷を呼び 轟音と光が やってきます。
そして 声が やってきました。
さ、や、かみのまななき
ながれいで よ
かぜ ふけよ
とこしえの
さ、や、たゆたまの
ゆらゆえよ
いかづちの
いかりもて
さ、や、ぬぐわえよ
さ あれかし
さ あれかし
声が 歌います。
大地が震え 唱和します。
力が 循環し始め
数え切れぬほどの流れ星が 空を横切ります。
声は 王様に届いたでしょうか。
それは誰にも 分からぬことです。
ただ 風と雲と雨と波が去ったあと
人々は ずぶぬれのまま 座り込んで
空を見上げていたと申します。
ぽかんと見上げるそのお顔は
幼子のようであったはずだと
わたくしは 思います。
さ あれかし。
■□■□■□■【トラバでボケましょうテンプレ】■□■□■□■□■
【ルール】
お題の記事に対してトラックバックしてボケて下さい。
審査は1つのお題に対し30トラバつく、もしくはお題投稿から48時間後に
お題を出した人が独断で判断しチャンピオン(大賞)を決めます。
チャンピオンになった人は発表の記事にトラバして次のお題を投稿します。
1つのお題に対しては1人1トラバ(1ネタ)、
同一人物が複数のブログで1つのお題に同時参加するのは不可とします。
企画終了条件は
全10回終了後、もしくは企画者が終了宣言をした時です。
参加条件は特にないのでじゃんじゃんトラバをしてボケまくって下さい。
※誰でも参加出来るようにこのテンプレを記事の最後にコピペして下さい。
企画元 毎日が送りバント http://earll73.exblog.jp/
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【
トラバでボケましょう2006 第6回お題】
『 目の前に流れ星が差し出されました。
さて。 』
飲み会を予定すると緊急手術になるとか
寝不足の夜に限って急患が来るとか
いろんなジンクスはありますが
新たなジンクス発見。
「TBボケ締め切りの日には緊急手術になる」
今回は余裕で間に合うはずが
アップ直前で救急車到来。
結局締め切りには間に合いませんでしたが
くやしいので こそっと番外トラバ。