あたしは手の力がない。
どのくらいないかというと握力が20弱しかない。
そんなんで外科医ができるのかっ?と思われるかもしれません。
ええ、あんまり関係ないんですね 握力って。
心臓外科で手の力がいる場所というのは限られていて
1、胸骨を切るとき(電気のこぎりみたいなのでがぁぁぁぁと切る)
2、胸骨を閉めるとき(針金みたいなのを通してペンチで締め上げる)
3、(人工心肺の)チューブ同士を接続したり外したりするとき
この3つだけ。
どれもちょっとしたこつとか道具の使いまわしでなんとかなるし
チューブの接続を外すのなんかどうしてもダメならハサミで切るか
助手にやらせればいい<おい
チューブの接続は兎も角、そもそも生きた身体を相手にしているのだから そんなに力がいること自体おかしいんじゃない?
だから力を入れなきゃできないことにぶつかるとあたしは どっかやり方がおかしいんだって考えることにしている。
やり方がおかしいか、アプローチが間違っているか、道具を使いこなせていないか、それでもできないことがあるなら企業に言って道具を作りなおしてもらえばいいのだと思う。
力を入れずに、舞うように愛撫するように、手術は繊細であるべきだもの。
それをしないで、やっぱり女は握力がないから損だよね、なんて言っている外科医は、頭が悪いか不器用か意地悪かのどれかだと思う。
それより困るのは公衆トイレ!
あの水流すボタンあるでしょう?
あたしあれだめなんだよね。
たいていは押せるけど押せないと大変だから、ボタン式のトイレには入らない。
いくら道具が大事だっていったって、トイレに金槌持って入るわけにはいかないもんね。
ワインのコルクはてこ利用したコルク抜きを手に入れたからなんとかなるけど
たまに缶ジュースのプルタブが開けられない。
コインやキーでこじ開けるか
まあ なにより簡単なのは 通りすがりの人にお願いすることですね。
けっこうみんな親切に手伝ってくれるし
それでお友達になれちゃうこともあるし <ナンパかよっ
このくらいできなきゃっていう意地を捨てたおばさんになっちゃうと
握力がないくらい なんともないわね^^
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私が外科に向かない20の理由 その3■□